外反母趾

外反母趾とは

外反母趾(がいはんぼし)とは、足の親指(母趾)が内側へ「くの字」に曲がり、足の外側に突き出すような変形が生じる足の疾患です。曲がった親指の付け根の関節(中足趾節関節)が、靴に当たって痛んだり、炎症を起こしたりすることが特徴です。

この状態が進行すると、親指の変形が強くなり、隣の指と重なったり、歩行にも支障が出ることがあります。外反母趾は特に女性に多く見られる傾向があり、加齢や生活習慣との関係が深いとされています。

代表的な症状

外反母趾に見られる代表的な症状は以下の通りです。

  • 親指が人差し指の方に曲がる(くの字変形)
  • 親指の付け根が突出し、靴に当たって痛む
  • 歩くと関節周辺に痛みを感じる
  • 炎症や腫れ、赤みが現れる
  • 変形が進むと、靴を履いていなくても痛むようになる
  • 初期段階では、痛みが出たり出なかったりすることもありますが、進行すると常に痛みがあり、日常生活に支障をきたすケースもあります。

    外反母趾の主な要因

    外反母趾は、ひとつの原因だけでなく、複数の要因が組み合わさって発症・進行することが多いです。主な要因は以下の通りです。

    靴の影響

    ハイヒールやつま先が細い靴は、足の前方に圧力がかかり、親指を内側に押し込むため、外反母趾の発症リスクが高まります。

    遺伝的要因

    足の骨格や筋肉の付き方、靭帯の柔らかさなどは遺伝の影響を受けるため、家族に外反母趾の人がいると発症しやすいとされます。

    足のアーチ構造の崩れ(扁平足)

    足のアーチが崩れることで、歩行時の衝撃を正しく分散できず、親指の関節に負担が集中しやすくなります。

    筋力低下や肥満

    足や体幹の筋力が低下すると、足の正しい形状を支えられず、外反母趾が進行します。肥満も足への負担を増やす要因になります。

    外反母趾の進行度(重症度の分類)

    外反母趾は、母趾外反角(HV角)という指標で重症度が判断されます。HV角とは、母趾と中足骨のなす角度のことで、X線写真で測定されます。

    分類 HV角の目安 特徴
    軽度 15〜20度 見た目ではわずかな曲がり。痛みが出始める人も。
    中等度 20〜40度 明らかな変形。靴に当たって痛みが強くなることが多い。
    重度 40度以上 母趾が人差し指の下に潜り込むこともあり、強い痛みや歩行障害を伴う。

    当院で行う治療方法

    外反母趾は、進行度や症状の程度によって治療法が異なります。当院では、患者さま一人ひとりの状態に合わせて、以下のような保存療法を中心に治療を行っています。

    靴の指導

    外反母趾の治療において重要なのが、足に合った靴選びです。当院では以下のような靴を推奨しています。

    拇趾のつけ根がしっかりフィットし、指先にゆとりがある形状

    ヒールが低く安定しているもの(3cm以下が目安)

    柔らかく足になじむ素材

    また、足のアーチを補助するインソール(中敷き)の使用も効果的です。

    運動療法(リハビリ)

    変形の進行を予防し、足指の機能を高めるための運動療法を指導しています。

    Hohmann(ホーマン)体操

    ゴム紐を両足の母趾にかけ、外側に引っ張るように力を入れる運動です。母趾外転筋の強化と関節の動きの改善を目的とし、軽度~中等度の外反母趾に効果が期待されます。

    1.両足を揃えて、ゴムバンドを親指にひっかける
    2.かかとを揃えたまま、足先を外側に傾ける
    3.ゴムの張りを感じられるところで10秒キープ
    4.20~30回を目安に繰り返す

    ※親指には力を入れず、ゴムの張力を感じるくらいまで傾ければOK
    横へ引っ張るのではなく、かかとをつけたまま外側へ回転させるイメージでおこなうのがポイントです。

    母趾外転筋運動

    足の指で「グー・パー」を繰り返す体操で、母趾を広げる力を鍛えます。足指の可動性と筋力を改善し、日常生活での足の安定性を高める目的で行います。

    テーピング・徒手療法

    テーピングや手技を用いた治療も取り入れています。

    テーピングによる矯正

    足のアライメント(配列)を整えることで、日常生活の中での変形進行を防ぎます。

    母趾の牽引やマッサージ

    関節の可動性を改善し、炎症や痛みの緩和を目指します。

    足裏筋のトレーニング

    足のアーチを支える筋肉(足底筋群)を鍛えることで、外反母趾の根本的な改善をサポートします。

©2021 いちょう街道整骨院 ALL RIGHT RESERVED.